ストーリーはあるのに、なぜ評価されないのか

近年の統合報告書では、「価値創造ストーリー」が丁寧に語られるようになった。

価値創造ストーリーは統合報告書の肝であると思うし、企業価値に影響を与える。

その関係性については最近論文にも書いた。
事業環境の変化を踏まえ、どのような戦略で中長期的な成長を目指すのか。
以前に比べれば、格段に読みやすくなっている。

それにもかかわらず、こうしたストーリーが企業価値評価に十分反映されていないと感じられる場面は多い。

その理由の一つは、ストーリーが検証可能な形になっていないことにある。
語られている方向性や考え方は理解できても、
・実際にどこまで進んでいるのか
・成果はどのように測られるのか
・想定と異なる場合、どう修正されるのか
といった点が見えにくい。

投資家は、物語そのものよりも、物語がどの程度実現しているかを重視する。
検証できないストーリーは、共感は得られても、評価には使いにくい。

また、ストーリーが抽象的であるほど、他社との比較が難しくなる。
結果として、「理解はできるが、判断材料にはならない」という位置づけにとどまってしまう。

価値創造ストーリーに求められているのは、美しさや一貫性だけではない。
それがどの指標で確認でき、どのように修正されていくのかまで示されて初めて、評価の対象となる。

ストーリーは語るものではなく、確かめられる形で示されるものである。

※本ブログでは、非財務情報開示と企業価値の関係について、研究と実務の両面から整理していきます。