非財務KPIは、なぜ企業価値と結びつきにくいのか

近年、統合報告書やサステナビリティ開示では、非財務KPIが数多く示されるようになった。
人的資本、環境負荷、サプライチェーン、ガバナンス――。
指標の種類も年々増えている。

しかし、非財務KPIがそのまま企業価値評価につながっているかというと、疑問が残るケースも多い。

その大きな理由の一つは、KPIが経営戦略や収益モデルと十分に接続されていない点にある。
たとえば、研修時間や離職率といった指標が示されていても、それが
・どの事業に影響するのか
・どのように競争優位を生むのか
・中長期的にどのような成果を想定しているのか
まで説明されていないことが少なくない。

この場合、KPIは「活動の記録」にはなっても、「企業価値を説明する情報」にはなりにくい。

また、非財務KPIは数値化されているがゆえに、評価できそうで実は評価しづらいという側面もある。
指標の定義が曖昧であったり、年度ごとに算定方法が変わったりすると、過去や他社との比較が難しくなる。

企業価値評価において重要なのは、単なる数値の提示ではない。
その数値が、何を意味し、どのような結果につながるのかが説明されていることである。

非財務KPIが企業価値と結びつくためには、
「測っている」だけでなく、
「使われる形で示されている」
必要がある。


※本ブログでは、非財務情報開示と企業価値の関係について、研究と実務の両面から整理していきます。