それでも非財務情報が“効く企業”の共通点

ここまで、非財務情報開示が企業価値に結びつきにくい理由を整理してきた。
努力して書いても評価されない。
KPIがあっても使われない。
ストーリーがあっても判断材料にならない。

では、非財務情報は本当に企業価値に「効かない」のだろうか。

研究や実務を通じて見る限り、答えは否である。
非財務情報が企業価値評価と結びついている企業は、確かに存在する。

そうした企業には、いくつかの共通点がある。

第一に、非財務情報が経営戦略と明確に接続されている
単なる取り組み紹介ではなく、「なぜそれが競争優位につながるのか」が説明されている。

第二に、投資家が評価に使える形で示されている。
定性的な説明に加えて、進捗や成果を確認できる指標が用意され、継続的に追跡できる構造になっている。

第三に、情報の「選択と集中」が行われている。
網羅性を追うのではなく、企業価値にとって本当に重要な要素に絞って語られている。

これらの企業に共通するのは、
「どれだけ開示しているか」ではなく、
「どの情報が、どのように評価されるか」
という視点で非財務情報を設計している点である。

非財務情報開示は、目的ではない。
企業価値をどう説明し、どう理解してもらうかという、評価との対話の一部である。


※本ブログでは、非財務情報開示と企業価値の関係について、研究と実務の両面から整理してきました。